○ 2011年7月2日 修復作業状況

 
 番屋復元は、壁の中塗り、蔀(しとみ)、屋根瓦葺きも終り、瓦への漆喰工事を行っています。

・竹小舞と荒壁
 梁、桁、柱が組み立て終り、そこに荒壁塗りの為の竹小舞を取り付けます。
 
 幾つか柱・梁に開いた穴に割いた竹を差込み、横に竹を編んで行きます。上左写真では、横竹の組込みは行っていない状態です。縦横の竹は棕櫚の縄で縛ります。その上に荒壁を塗ります。その結果が上右写真です。


・鬼瓦設置
 屋根の瓦を葺き終わり、鬼瓦は設置しました。鬼瓦は下から見上げるためでしょうか、


 

・蔀(しとみ)
 蔀は、水切りを良くするため、上部板が上にくるように重ね、大きな一枚板を作ります。それを、荒壁の上に砂漆喰を塗った壁から少し離して立てます。
 南側は古い資材を使用し、西側は新しい資材で作り直しています。
 
 上左側写真が南側の蔀で、それを上から見たのが右側写真です。蔀の後ろ白いのが砂漆喰で、茶色が荒壁(土+藁で4ヶ月程寝かせ熟成させた土)です。


 新しく作った西側に蔀を取り付けたものです。古色塗りをしていますので、違和感はありませんが、板幅が細いです。
 外側は漆喰塗りの作業が残っています。

屋根瓦を概ね葺き終わった番屋全景が下に紹介します。



・ 武者窓
 番屋南面、東側にあるのが武者窓です。

 格子の棒が上写真のように縦が武者窓です。これが横になると、与力窓と呼ぶそうです。
 

・棟瓦漆喰塗り
 梅雨時で雨が多くなり、屋根全体にもブルーシートを覆い棟漆喰の工事です。

 砂漆喰で概ねの形を作り、その上に漆喰を塗ります。漆喰を塗り、形を整え、色艶、容姿を磨きあげるように、鏝で擦り、水を着け、鏝で擦りを何回も繰り返します。

・本門の基礎工事
 土を掘り起こし(今回は大きな根はなし)、コンクリート土台を打ちさらに石を水平を並べました。
門の下は三和土(たたき)となります。


・母屋瓦落下事故
 母屋で瓦落下事故が起きています。


 

 上右写真の中央部の三角の左辺が茶色になっている部分が瓦落下した箇所です。
 木部と下葺き土が腐食して本来の力がなくなっていますので、漆喰で縦方向に一列固めていた瓦が、風雨が続いた為に1度に落下したようです。
 本格的に直すには、大きな取替え作業となり、瓦も不足している状況もあり、シートなどを掛ける一時凌ぎです。本格修復が来年度開始されまで、持つことを願うだけです。


 

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