本門は番屋復元工事準備中に、番屋移築(昭和31年)後に解体され保存されていた資材を米蔵に見付けました。その資材から本門は薬医門形式で、資材に残されて墨書から番屋と同じ文政13年の建立がわかりました。番屋と本門は対であり、同時に復元できたことは良かったと思っています。
その本門に3点ほどの謎が残されていました。
● その1 冠木(かぶき)の無数の釘跡
冠木とは門の前柱(本柱)をつなぐ太い横木です。
この冠木に無数の釘跡がランダムにあります。
黒い点が釘跡です。釘は古い四角い釘と洋釘(丸い釘 明治以降の釘)が混ざっています。注連縄を飾る、あるいは幕を張るためであればこれほどの釘は不要と思います。
門の入口の目立つ場所ですから、無駄な釘打たないと思うのですが、謎です。
● その2 東側塀際の穴
本柱の東側に手を回すと穴が空いています。
現在、ネリ塀(土壁を漆喰で覆い上に瓦を乗せた塀)が接近していて、この穴に横木を挿す事はできません。本門が出来た頃、ネリ塀でなく板塀でその支えに使っていたのではないでしょうか。
ネリ塀となったのは、明治以降となります。
● その3 表札の跡
木は長い年月を重ねて行くと、雨が当たる箇所、陽が当たらない箇所で色合いが違ってきます。
上の左が本門の西側の柱、右が本門の東側の柱です。左と比べると右側の根継ぎの上側に長四角の白い部分があります。ここに永い間大きな表札が掛けられ、白く残った様に見えます。現在、通常の表札はこれ程大きくありません。長い期間、ここにどのような表札があったのか興味を覚えます。
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○ 文政13年建立本門の謎
本柱
本柱
この穴
冠木