● 一絃琴 脚付き一絃琴と箱型一絃琴
一絃琴は、絃が一本の弦楽器です。
土佐に伝えたのが門田宇平、門田宇平誕生の地が安岡家住宅の近くにあります。文助日記には門田宇平と交遊した記録があります。
↑以下に示す
安政七庚申年 閏三月
同廿七日高智より宇賀一郎平門田宇平坂本権平村山守介数々来リ琴弾遊ニ夜滞留
門田宇平が9歳ほど文助より上であり、幼い頃には交遊はなかった思いますが、坂本権平(門田宇平に一絃琴を習っていた)などと、前述の様に交遊があったようです。「琴弾遊」とあるので、文助も一絃琴を弾いたかも知れません。
安岡の家(お下)では、大正時代に一絃琴を娘達に近所に習いに行かせ、浅上王子宮(氏神)の祭での演奏会に参加したとの記録がありますが、それ以前に一絃琴を弾いた人がいたかは不明です。以下が蔵に仕舞い込まれて一絃琴です。
正面から見ています。上の台までが約25cmあります。
その台の上に一弦の引いた板を置きます。
台の上には乗せるだけで固定はしません。板は少し膨らみがありますが、他の弦楽器にある様な共鳴箱がなく、構造は非常に簡単です。房はありますが、無駄な飾りがなく、あえて言えばクールな楽器です。
脚付き一絃琴は高さが上の板を入れ32cm、幅が122cmあるので、持ち運びは大変かと思います。
その不便を感じた為でなく、箱に収めてられ持ち運びが容易な一絃琴を紹介します。
幅約50cm
この箱の中を取り出し組立てます。
手前の箱にあるのが脚、奥の箱には弦を引いた板(2枚)入っています。その板及び箱を連結します。
奥が脚を付けた箱を逆に置き並べています。下は弦を引く板を連結しています。
下の写真が箱の連結部で、連結用の部材、最近まで紛失しており作り直しました。
脚で立てると脚付きと同じになります。
弦を通常の弦楽器のように、板の上に木(上写真の中央部左右)を置き、その上に糸を置きました。このき脚付きにはない物です。どうもこれは間違いのようで板と台の間に置き、脚付きと同じように板に膨らみを持たせるのと思います。この状態でも弾くと良い音がしました。
弦はギターなどと同じビニール状でした。一絃琴の糸は絹糸であったことなど書かれていましたので、この箱型一絃琴は新しく近世に作られてものでしょうか。前述のように安岡家では弾いた記録はないのですが、どうしてこんなものを購入したのでしょうか。
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