● 土壁練り
 蔵は土壁が厚いためそこに使用される壁土は主屋より多く、その練り場所も広く採られています。
             2017年8月 撮影
 上の写真では藁を土に混ぜています。
 混ぜ練るのは農耕用のトラクターです。土が多量でもあり、膝近くまで潜り作業をしています。
 建物には柱間の間渡し竹がはめ込まれています。

             2017年9月 撮影
 竹は壁が厚いので割竹でなく丸竹を使用しています。

             2017年9月 撮影
 上写真で左の少し茶色を帯びた間渡し竹は前の米蔵解体で土壁に埋もれていた古い竹です。右の白い竹は今回追加した竹です。木で追加した資材には、平成の年の焼印が付けられるますが、竹に焼印が出来ないので、マジックで横線が付けられています。
 間渡し竹に同じような丸竹を荒縄で結び付けた。

           2017年11月 撮影
 稲刈で稲穂の籾を取除いた長稲藁で莚(むしろ)、俵、縄などの製品の材料として重要でした。稲最近の農業では刈入の際に切断され長稲藁がなくなりました。今回の稲縄は東京の会社から入手したそうです。蔵修理で地産地消は竹、土、漆喰だけのようです。
 厚い壁土を抑えるため下げ縄を取り付けます。

           2017年11月 撮影
 上写真の中央の角で太い割竹で曲げ囲んでいます。また、これら荒縄結び方も昔の技法に基づいているようです。解体の際、必要な情報を残して、左官屋さんも実物で学習して備えてくれたようです。
 この蔵も約200年前ぶり解体修理ですから、技法は解体で学ぶだけしかないのでしょう。次回の修理工事、200年後西暦2200年にそのような左官屋さんがいるだろうか。稲藁もあるだろうか。
 一年寝かし熟成させた土に藁を入れ土の繋がりを強くする。

           2017年11月 撮影
 粘っこい土を片手に乗せ、下げ縄を持ち上げ竹小舞の間に土を放り込みます。

           2017年11月 撮影
 土は重たく縄を上げ放り込む大変な力作業です。言葉の通り荒打ちです。
その手順をビデオご覧下さい。荒打ち

 下げ縄を鏝で荒壁に埋め込みますが、それがやりにくい箇所は手で埋込みます。その手順を以下のビデオでご覧下さい。
               下げ縄   埋込
 屋根にも同様に荒壁打ち(塗り)をします。

           2017年12月 撮影
 これで蔵の上部は土壁で覆われて事になります。

           2017年12月 撮影
 土を乾かし中塗りをして行きます。
 今年の冬は寒かった。

           2017年12月 撮影
 今年の12月が予想外の寒さで乾く前に凍結しそうなため、屋根に莚を敷き更に上にシート屋根で覆います 。
 荒打した裏側です。

           2017年12月 撮影
 外からの投げ込みで飛び出した箇所は、外側から荒打と併行して整えます。さらに時間を置いて中塗します。

           2018年1月31日 撮影
 外の壁の中塗が終わると、水切瓦を取付ます。水切瓦は取付られていた痕跡から北と東側(下上側写真)と東の窓(下下側写真)の上に取付ました。

           2018年3月28日 撮影

           2018年3月28日 撮影
 壁土を受ける板があります。

      2017年11月28日 撮影
 その角を下から見たのがこれです。

      2018年2月28日 撮影
 中塗も終わり壁が重くなりますので、壁が乾くまで壁受板に支えを入れています。

      2018年3月31日 撮影
                   続く 漆喰壁工事

                   ● 米蔵修理工事状況 先頭

                   ● 修理保存工事状況 先頭

                   ● 安岡家住宅<重要文化財>先頭

●米蔵 左官工事