米蔵の置屋根(鞘屋根)工事の登梁(下写真)まで終了し、その後の米蔵に瓦を葺くまでの工程を紹介します。

       撮影 2018年3月24日
 この登梁の下側、両側を板を打ち付けます。その内側にまず、縦(登梁)方向に割竹を置き、これに交わるように割竹をツタで留めます。

       撮影 2018年4月20日
 これを下から見上げると竹の暖簾です。

       撮影 2018年4月20日
 この上に編まれたヨシズを張ります。


      撮影 2018年4月20日
 北側(上写真 右手)が少し長くなっており南側に折ります。これを「馬乗りに収める」と呼ぶそうです。これらのヨシズは竹で抑え、その竹は上下斜めになる(千鳥になる)ように釘を打ちます。このヨシズを編むとき編み目で下から上に一本移し交差させています。

     撮影 2018年4月24日
 ここまでは旧仕様(解体時の状況)に合わせていますが、このヨシズの上に土を置いて瓦を葺くと土が乾くと蔵の上に土が落ちるので上にルーフィングしました。

     撮影(文建協) 2018年5月
 この桟で銅線で瓦を留めます。これは土の量を減らし、耐震強化を図っています。

    撮影 2018年5月25日
 山型の付いた桟瓦を葺き、後は棟瓦、丸瓦工事を残しています。
 この時、天井裏を覗きました。当然真っ暗です。

      撮影 2018年5月25日
 棟の瓦工事は頂稜に南蛮漆喰を乗せ、そこにノシ瓦と丸瓦を乗せて作り上げます。

       撮影 2018年5月29日
 先端の丸瓦の上、稜の両側に置いてあるのがノシ瓦です。これは平瓦を切断して作ります。ノシ瓦の大きさの瓦を焼いて作れば効率的と思いますが、これも旧仕様に則しています。
    上写真の左が電気カッターで切断し今回使用、右が旧のノシ瓦です。
 このノシ瓦を南蛮漆喰を乗せた頂稜に置きます。

    2018年5月29日 撮影
 丸瓦を置くと形を整えます。

    2018年5月31日 西側から撮影 
 この頂稜部分に光の筋が見えます。上の写真の手前の丸瓦同志にも隙間が見えます。

    2018年5月31日 撮影
 今回の工事は、瓦工事は奈良の職人さん、左官工事は高知の職人さんです。高知では隣同士の瓦は高知では漆喰を塗ります。この隙間はそのためです。奈良ではそのような屋根はないので、瓦屋さんはピッタリ隙間なく置こうとします。左官屋さんと折り合いが大変だったそうです。
 この隙間に何回か塗り込みピカピカの漆喰を塗ると土佐の屋根になります。

          2018年6月26日 撮影
 上写真で塗った箇所は黄色く見えますが、段々白くなります。ですが、雨に濡れるとカビなどの為黒ずんできます。年月の為せる技で、貫禄と見る。漆喰は上塗りは出来ないのでまた一からやり直しが必要です。


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●米蔵 屋根瓦工事            20180710 新規