● 道具蔵 修理工事(仮設撤去)  新規 2019年4月14日

 道具蔵の工事が終わり仮設(足場)が撤去されました。東の塀も修理で取り壊されたこともあり、道具蔵への見通しが良くなりました。色々な方向からの道具蔵を紹介します。
 
○ 南から見た道具蔵
 南から道具蔵を、時系列に紹介します。古いのは大正6年8月17日の家族写真です。
 
       撮影 1917年8月17日 
 
写真左に見える瓦屋根は蔵のではなく、明治に座敷の北側に長屋門から移築増築した建物です。写真左の子守さんの背後に道具蔵がありますが、木が繁茂して見えていません。
 
        撮影 2005年10月1日
 上の写真で手前の踏み石を、前掲の写真と比べると、帽子の男と子守の位置、赤いビール箱と松の大木が同じです。前掲の写真の背後に見えた瓦の建物はその後移され、後ろの蔵が見えるようになりました。工事が始まると、仮設建設もあり、木々は伐採されます。
 

       撮影 2012年11月7日
 何故か、蔵の前のモミジなどはこの時点では残っていますが、その3日後に、さらに木々は伐採されツワブキも刈られています。
 
       撮影 2012年11月10日
 
 蔵の前のモミジの根が残っていました。6年経ているので通常は白アリに食べられるはずですが、食べられた形跡はありませんでした。モミジの根は松のように白アリに
強いのか。
 道具蔵の前の白い壁は
弘化時代に改造増築された客人用の部屋で、工事では相の間と呼ばれています。東の座と呼び曾祖母、章太郎の両親の部屋などになっていました。
 復原修理された建物がこれです。
 
     撮影 2019年3月29日

 蔵の下側窓の戸は引き枠の形跡があり復元されました。上側の窓の戸は前掲の写真に見られるように残っていましたので復原しました。残っていたのがこれです。
 
       撮影 2018年11月24日
 上の写真で金輪にぶら下がっている先端に穴の開いた金具、用途不明のまま復原されています。
 
○ 北西から見た道具蔵<壷状遺構考察>
 前掲の写真でもわかりますが、道具蔵の礎石が主屋により高いです。礎石の位置、高さは解体時のに合わせますので、建立当初からのことです。北側からの見ると顕著です。
 
 
       撮影 2019年3月26日
 上の写真で左が道具蔵、右が主屋ですが、主屋は新たに敷いた雨落石の高さで、道具蔵は積んだ土の上に礎石があります。反対側は溝が接近しています。米蔵は主屋より高い位置に礎石があるだけでなく、三方を溝で囲っています。
 
        撮影 2018年12月2日
 蔵の礎石の高さ、周囲の溝で床下への水の侵入を塞いでしていたのである。主屋は宅地の中心にあるので、外からの水の侵入の防御策は見られないが、建物の屋根が集める多量の水を庭に流していた。それで大雨が降ると庭は池になっていました。今回の修理工事で屋根からの水を流す排水路を建物に周囲に設置し大雨の際にはゴーゴーと流れています。
 前掲の主屋と道具蔵が向かいあっている写真を見ると、右の主屋の谷筋(座敷部と居室部の屋根が合わさった箇所)からの水、道具蔵の屋根からの水が、主屋の下に流れ込みます。前掲の主屋の逆L型の角にあったのが壷状遺構です。
 
       撮影 2015年3月31日
 前述の逆L字を反対側から見ています。ベニヤ板が置かれている場所が座敷部の床の間で、その奥が壷状遺構です。緩衝池で水流の主屋の床下への水の侵入を防いでいたのでしょう。壷状遺構の右手に堤防らしきのが見れます。この解体途中の拡大が次(写真90度回転)です。
 
        撮影 2014年3月2日
 壷状遺構の上に建物を作ったので、水の侵入を防ぐ防波堤に見えます。
 西側にも谷筋がりますが、そちらには大穴(シズか)があります。
 道具蔵の話からそれましたが、水が少ない箇所では蔵を高い箇所に作ることはないので、安岡の家住宅の特色かもしれません。南から見た道具蔵の前が座敷部など周囲に比べ盛り上がっています。米蔵は古材への番付、入口に改変がないことから、現場所前に東位置で長手が南北方向に建っていたと推定されています。それがこの場所であった可能性があります。

○ 北、南西から見た道具蔵
 道具蔵を北側から見るとこんな感じです。
 
       撮影 2019年3月25日
 北側に一階と二階に各々小さな窓が、斜め並べています。手前の広場に防火用水設備が造られるので、完成時広い白い壁を遠望できなくなります。
 南西の座敷部から見ると蔵は近くに見えます。
 
       撮影 2019年3月25日
 こちらから見ても蔵の礎石位置は高いです。
 道具蔵は公開するときには展示場にする予定です。
 主屋から渡り廊下入れるようにしました。
 
       撮影 2019年12月2日
 道具蔵の展示場の設営はこれからの仕事です。

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