道具蔵の修理保存作業を紹介します。
その作業内容・手順は米蔵と同じです。解体時の写真を混ぜて紹介します。
○ 礎石
道具蔵の北側の広場にリュウキュウ延び、礎石の脇にシュウカイドウが咲いていました。解体作業で消えました。
撮影 2012年 8月
上の写真で礎石がコンクリートで埋めています。白アリなどの被害から防げると思い行ったのだろうが、逆にシロアリに柱への登り口を作ってしまったようです。
復原工事で礎石を固めていたコンクリートを取り除きました。
撮影 2018年2月
動かすことが出来るようになった礎石の再使用可否を判定し、再使用可は青テープ、使用不可は赤テープを張ります。道具蔵には礎石として使用されていなかった石が床下東側にありました。下写真の下側で切れて写っている石、その左側の石です。これらは床下から侵入防止と推測していますが、今回の主屋修理復原工事でも後世の修理用などとの理由で礎石を床下、古材を天井裏に置いてますので、二百数十年前も同じことで置いたのだろうか。
撮影 2018年3月
礎石は直接土の設置せず、鉄筋コンクリートの上に置きます。下写真上右側のパイプは防災及び電気ケーブルの取り入れ口です。
撮影 2018年4月24日
○ 軸部組立
再使用の柱は切るなどして高さを調整できないので、下の礎石で高さを調整します。計算された高さに合わせ礎石の位置、傾きを決め砕石をそれに合わせて置きコンクリートで固めます。その仕組みも床下の
タタキ
で隠され、一見礎石に乗っています。再使用の礎石では柱、床根太を置く面上はこれまで同じ位置です。柱は礎石の面に
「光」処理
で合わせます。
撮影 2018年5月25日
上写真は上記の手順を終えて柱、床根太を据えています。床下にはタタキ養生のため、ムシロが敷かれています。
5年前の解体で礎石が見え出したので次の写真です。柱間の貫が柱から外れがぶら下がっているようです。前述しました柱の礎石、床根太が乗せられていない石が見えます。これらは解体前と同じように床下置かれています。上の写真ではムシロ下に隠れています。
撮影 2013年3月27日
修理復原での組み立て終わった軸部を上から見た下写真の奥及び手前の柱で少し黒いのがあります。これらは古色塗した新材です。新材が数多い、つまり朽ちていた柱が多かった。道具蔵はやっと建っていたことになります。
撮影 2018年5月25日
下の写真は5年前の解体で柱が見えた頃、写真では朽ちていたかは判断できません。
撮影 2013年3月25日
復原工事ですので、解体した通りに組立ますが、上写真の右側から3本目の床梁の壁側の拡大を次に掲載します。
撮影 2013年3月20日
矢印の先に貨幣(寛永通宝)が見えます。数個あり、何か意味があるのか、これは復原しませんでした。
柱間に棟木を乗せます。細いですが、置くと軸部に安定感が出ます。
撮影 2018年6月1日
5年前の解体で柱が見えだしました。
撮影 2013年3月20日
解体時の柱は土壁に覆われていましたので白く見えます。復原時には柱の土が洗い流され、新材は古色塗で黒く見えます。白と黒の違いからか解体時の柱は不安定、弱弱しく見えます。
○ 屋根工事
瓦を取り除くと朽ちかけた天井板が出てきて垂木に打ち込んだ新旧の釘がありました。瓦の葺き替えで天井板を取替たのでしょう。
撮影 2013年3月5日
棟木に登梁を置き天井板を張ります
それを内部から見上げています
。
撮影 2018年6月24日
道具蔵の天井板は松材でないので、
釜屋などで見られた天井裏に赤い火
は出て来ません。
外側から見ると天井板の上に古色塗した横桟が上と下の天井板の境に置かれ天井板を留めています。横桟と平行して白い横棒が見えます。これは木でなく割竹で荒縄を巻いています。この割竹は丸竹を四等分して作ります。下写真は竹を割っている作業を撮影しています。
撮影 2018年7月26日
この藁紐を巻いた竹は、天井板に置く壁土が流れないようにする仕掛けです。
撮影 2018年7月26日
解体時の同じ天井板を写したのが次です。
撮影 2013年2月26日
上写真の天井右寄りに穴(黒い半楕円)があります。これは瓦屋根に雨漏りが出来漆喰・土壁を貫き天井板も穴が、中央の開いたのです。この上に土壁がありました。
撮影 2013年2月6日
天井板に穴が開いた箇所は少し凹み(上写真指先)、土が落ちそうです。この疲れた土壁も二百数十年前は下のようだったのでしょう。
撮影 2018年8月21日
屋根は壁と同じ荒塗状態です。屋根及び内側壁の塗を整えいます。
撮影 2018年9月18日
屋根に登梁を置き、数センチの隙間を埋込ます。
撮影 2018年9月24日
下写真に埋める隙間部分の拡大を掲載します。
天井にも漆喰を塗るだけとなりました。
撮影 2018年9月27日
これで蔵の上部は土壁で覆われます。
梁に棟木を置き、漆喰塗、垂木を取付け瓦葺きに入ります。道具蔵修理保存工事_2を示します。
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追加 2018年10月14日