主屋の屋根下地作り

 主屋の瓦に多種であること、屋根の作りが客間、居間側で異なることを屋根 瓦下ろしで紹介ました。これらの葺き替えです。
 下ろした瓦は叩き打音で良し悪しを確認しました。大部分は再使用不可で主屋の瓦はすべて新しく焼き作ることにしました。その軒先瓦の模様は次の通りです。使用可能な瓦は他の建物で使用される可能性があります。

 これまでの瓦の様に軒先側に屋号を入れて欲しかったのですが、瓦の裏面に年とxx瓦と刻まれていました。材木も新材に年の焼印を入れているだけです。建物を解体して出てくる墨書、悪戯書き、瓦の屋号を見付るのが楽しかったのですが、それなりの決まりがあり、現在は書き込むことができないのでしょう。
 昔は職人に余裕があったのか、番屋に施主「廣助」の名も残っていますので、建物に墨書を残すことは当たり前だったのでしょう。
 上の瓦デザインは次の文化か文政の頃作られたの屋号「王子弥」の瓦、屋号から現在の香我美町徳王子にあった瓦屋さんでしょう。


 今回は居室部の屋根作りの瓦を葺く前までを紹介します。 
 居室部の屋根は北側と南側で異なっていました。
 北側は野地板まで葺き替えたのか、野地板の上に瓦土が置かれていました。一部にヨシズの残骸が見えました。瓦を外すと野地板が出て来ました。こちらも屋根板は大分傷んでいます。居室部の南側の瓦を取り除くと一面ヨシズで、ヨシズは竹で抑えられています。ヨシズを取り除くと丸竹が出て来ました。
 この丸竹の曲がり具合(屋根 瓦下ろし参照)が好きで、復元されるかと思ったのですが、建立当初の屋根仕様でないこと、空葺き(構造計算上屋根を軽くするため瓦土を使用しない)工法のため取り入れられませんでした。垂木は大部分は取り替えられました。下から見える箇所でもあり古色塗りをしています。

 この垂木の上に野地板(瓦板)を取り付けます。野地板は松材を使用しました。
 白い野地板これだけで充分な感じもします。

 この屋根板を横から見ると、重なりの隙間をなくすように板は、中心部を少し高くしています。

 ここまでの作業は職分としては大工さんの仕事になります。
 この野地板が松材であったことから、こんな現象が見れました。

 火事だ! と思ったが皆慌てていない。
 松脂が多い箇所が透き通って見えたのです。天井が出来、瓦が置かれ、今だけ見れる現象です。
 この屋根にルーフィングと呼ばれる屋根シートを貼ります。
 シートは表面にゴムがボッチがあり、紙のような間に黒いのをサンドイッチしています。聞いたことによれば、釘を打っても周囲に隙間できないそうです。瓦屋さん奈良の方ですが、このシート高知製(亀山社中という会社)のようです。

 
 シートの上に瓦桟(下写真で屋根前面に細い長い棒)を取り付けます。


 瓦桟に瓦を留めます。空葺きで瓦土がないので、桟の位置で瓦の流れるような美しさが決まるため、桟の高さを合わせるため小材を挟みこみます。

 これで瓦を葺くことができる状態になりました。

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