● 主屋修理保存工事 基礎工事 その1

 主屋は2014年6月に全解体して礎石を残すのみとなりました。
 
 
 上写真は居室部側から座敷部を見ています。写真手前右手の穴は取外し不可の床の下にあり、その目的用途は不明となっています。
 解体資材の調査、修理保存の設計、変更届、試掘調査(調査結果参照ここクリック)などを行い、基礎工事に入りました。実際の基礎工事の前に礎石の再利用の可否の調査し礎石別にマーク(赤テープ不可礎石)を付与、
 
水盛遣形施行(高さの水平を確認するための仮設工事)を行い整地面の基礎工事に入りました。

・基礎工事 整地面
 試掘の結果、叩き面が座敷部は二面あることが確認されました。これは座敷があった場所に文化七年建立以前にも建物があったと推定できます。このことは別の項でそのことを記載したいと思います。
 この二面の間に蟻道があったこともあり上の叩きを取外し、防蟻を施すことになり、上面の叩き外し(鋤取り)を行いました。そのため文化七年の建物の礎石が浮いて見えます。
 
 上写真右手の小石が並んでる箇所は中庭の溝遺構で、すぐ奥が座敷の床の間になります。

 座敷部の方は二面と明確なのですが、居室部整地面の下は複数の遺構が数多く出て来ました。文化五年建立の居室部建立以前は、小さな建物があり雑多な使われ方をしていたのでしょう。これは初代覺兵衛の生活を描くための重要な手掛かりのように思います。遺構などは試掘調査結果(調査結果参照ここクリック)に示します。このような雑多な使われ方は民家の重要な遺構と思う面はありますが、建物があっての民家ですので、後には報告書だけの確認となるのでしょう。居室部には試掘の穴が多くありますが、座敷部と同じように叩きを取外しを行いました。
 

・基礎工事 礎石据置の整地
 礎石をそのまま利用できる場所は特に手を付けないのですが、上に置く柱の状況に従い礎石据置を整地します。柱の状況とは「極力これまでの古材を使用しますが、そのため虫に食われたなど使用不可の箇所は同一種類の材で補強します。梁の水平を確保するため建立時は柱を削り調整が不可となった場合」のことです。この場合、柱の礎石、柱の高さに合わせて。コンクリートを埋め込みその上に礎石を置き、最終的には土で覆い見た目にはこれまでと同じになります。
 
 コンクリート高さが一つ一つ違っています。


・基礎工事 構造補強壁据置の整地
 構造計算の結果、土壁だけでは構造上弱いと出た箇所が数箇所あります。そこには合板を入れ補強します。その箇所には鉄筋コンクリートを埋め込みます。この合板も土壁で見えなくなりますので、見た目は他と変わりがないとのことです。
 

 いずれにしても、見た目は以前と同じでも、内部構造は違うことになります。家の寿命を延ばすため仕方のないことなのでしょう。無用な手術であったかの判断は後の人に任せます。

・基礎工事 埋め戻し叩き
 試掘の穴などは前述の据置場所で掘った土などで埋め戻します。埋め戻した土は叩きます。三輪明宏のヨイトマケ方式でおこなうかと思っていたが、それは50年以上前の工法、今は機械であっと言う間に土は叩かれる。
 

狭い場所はハンマーで叩きます。
 
 

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