● 居室部の小屋組まで
居室部と座敷部の作業手順は同じですが、居室部の工事の一部を紹介します。
○床の大引
軸部組立の前に古材の繕い、新材の作り込みが行われます。
その中で床の大引を紹介します。大引とは床板の台となる床根太を置く、下支えです。

この大引は蟻の被害が多く、上の写真のような新材と取り替えられました。
この材の年輪を数えてみると、45年でした。

○軸部組立と大引組込
これら新材加工、古材の繕い、柱の光作業を行い、軸部の組立を行います。

前項で紹介した大引は古色塗、防蟻材を施し、上写真の右側最下部に置かれます。

その上には床根太が置かれ、

その後上に畳板、畳が敷かれ200年表に姿を見せることはないでしょう。
○梁工事
軸組された上に梁を乗せます。
乗せる前に建立された文化五年からの土ホコリ、チリを拭き取りました。

上写真で上段の梁が拭く前、下段の梁が水雑巾で拭き取った後です。
煤が木に染み込んで、拭いた直後は黒光りしています。
水が乾わくと落ち着いた色となります。梁の位置に戻り永く家を支えます。

これらの梁を2台のチェーンクレンを操作して柱に乗せます。
軸組の安定のためか、南北の両側を先に乗せていました。

上は北側の梁です。
下は南側で、見える箇所は平坦な面の梁を使用しています。

中心に置く太い牛梁を除いて梁を乗せ終わったのが次の写真です。

これらの作業のビデオを次クリックで見れます。

上に牛梁も乗せ小屋組も終わり、竹小舞掻けも一部始まっています。

○焼印
全ての新材には工事を行った年度の焼印が押されます。以下の栓の焼印です。

古材は洗われ二百年を経て元の位置に戻り、新材は二百年を経ることになります。
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