天井工事

 天井工事は天井板を張るだけと思っていました。家に多い竿縁(さおぶち)天井を紹介します。下写真は座敷部の竿縁天井です。
中央部の竹節欄間が取り付け中の状態ですが、天井工事は終わっています。
 
 この天井板は解体した古材を大部分使用できています。
 この板には次のような形状です。
 

 上の写真のように天井板にはスリット(穴)があります。
 このスリットを通して竿(横木)と吊木とを結合します。
 スリットの間、及び右側に溝が見えます。これはイナゴ呼ばれる材を差込ます。
 
 上のイナゴには野市村林兵衛と墨書が見えます。
 なお、上に紹介した天井板は居室部(東側)ので、座敷部
にはこのようなイナゴは使われていません。また、結合箇所のない天井板は当然穴はありません。
 
 上は座敷部の天井板で繕いを施しています。
 吊木の竿との結合部分は次の写真のように下が膨らんでいます。
 
 上写真は古材です。吊木は傷みが多くあり交換しています。
 この部分と結合する竿の部分は次の穴が開いています。
 
 所謂蟻臍(アリホゾ)です。天井板の穴から上写真の下側に差込み、写真の奥側に送ると、上方向に抜けなくなります。
 吊った天井を次に紹介します。
 
 これは座敷部の天井裏です。縦方向の細いのが吊木です。
 この吊木上の留めている材が加工されていない丸太です。これは他の天井も同じで、杉の皮が付いたのもあります。金具はブレスで構造補強です。
 次が居室部西側の竿(蟻臍が見える)と吊木を支える材です。
 こちらも見たとおり、加工なしの自然材です。
 
 昔の工事現場の裏から間に合わせで拾ってきた木切れに見えます。
 見えない箇所は安く仕上げているのか、意図があるのか、不明です。
 年月経つと前掲のように吊木は朽ち、天井裏には土埃がたまります。
 
 上写真は解体前の居室部の天井裏です。屋根がヨシズの部分もあり瓦土が落ちたのでしょう。それでも雨、風は凌ぎました。
 ですが、天井板が見えないほど土が落ちたら大分重い。それを支える吊木ではないでしょう。今回の修理保存工事後は松の野地板が一面に張られこのようなことは起きないでしょう。が、小動物には住み心地よい場所になりそう。

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