軒先・入母屋工事

 軒先は建立後、外部の部分で目立つ所と思います。
 工事前の座敷の角から両側に開く軒先は直線的に見えます。
 
  同じ箇所が修理工事では次のように曲線となっています。
 
 まるで寺社のようです。樋のため目立たなかったのか、家が傾いていたので見えなかったのか。前のは腐り再使用できないですが、部材の痕跡からこの曲線を作り出したそうです。
 
この曲線は一本の太い部材から削り出しています。
 曲線を作り出すため、多くを削り落としています。
 見る方向を変えると上に押し上げているようにも見えます。
 この軒先の曲線は座敷部の三隅で施されています。下写真は南西の角です。
 
 瓦の野地板が張られ、瓦用のシートが敷かれ、更に瓦桟が取付けられます。
 
 この軒先にも軒先瓦の桟もこの曲線に沿って作られます。
 
 軒先瓦の先端には巴などの飾りが付いています。その箇所と桟との間(雀口)を漆喰で埋めます。そのため先端の桟にはサメハダと呼ぶ刻みを付けています。より一層せり上がりが目立ちます。
 そこに瓦を葺くと次のようになります。
 
 下り棟(中央の斜め線)に丸瓦が葺かれます。
 雀口の部分を拡大は次の通りです。
 
 丸瓦葺くときに上写真で空いている箇所も瓦が葺かれます。
 この狭い隙間へ漆喰を塗るのが左官さんの腕となります。
 軒先の上、三角の箇所が入母屋屋根です。
 解体前はそこは板が打たれているだけでした。
 
 この板を取り除くと入母屋の雰囲気となりました。
 
 番屋にあった懸魚は見れません。三角のは破風も少し痛んでいます。破風の左上の箕甲は雨漏り修復したので傷んでいません。三角の板の部分も細い横板三本の単純な飾りです。
 ここも削り出しで破風を作り出していました。
 
 
 軒先は出来上がると下から見上げられるので、これら軒先には化粧板と呼ばれる白無垢が敷かれます。
 この化粧板を取り付けられる根太の隙間から、何かが進入しないように塞いでいます。この塞ぐ板設計通り切断し、現場に持ち込みはめ込む時、
 
 長手方向で叩いた後に嵌め込みます。板の反発力を利用して、空隙をなくします。余分は高さの余分はこの後、切り落とします。
 詳細な図面はあるのだが、作り出した部材を最終的に仮止めなどして現場で確認しています。

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