● 用途不明の木製品

 
用途不明の木製品です。
 これらは米蔵の西側の本門資材に紛れていました。


 
上の写真の上側が円柱と角材が連結され手いるように見えますが、一つの木材で出来ています。角材から出ている円柱も、填め込みでなく刻み出しています。
 
 下側が溝が彫られ中間部に細い溝、穴が作られて、右端は欠けています。
 これらを洗い撮影すると中々良い木目が出てきます。


 溝が彫られた構造物は全長は1744mmあります。上の写真、細い溝を中心に左右に白い紐状(写真では上下)が見えますが、これは小さな穴が貫通していることを示しています。
 形の詳細は溝彫り構造(pdf資料)を参照して下さい。
 
 四角と円柱の組合せも洗ったのが以下です。全長は1200mmあります。


 上が凸の円柱側から見た写真で
 下が左側面のから見た写真です。


 
 両者の資材の種別も異なり、組み合わせて一つの製品でもなく、いずれも何かを搾り出した痕跡もありません。使用し磨り減った箇所もないので、失敗作の可能性はあります。




● 携帯用懐中燭台 

 携帯用懐中燭台の名称は田中久重(からくり人形の作者)の紹介ページにあった燭台と形状が同じであることから、そのページで紹介されていた名称を使用させて貰っています。
 色々の形に変化します。

 
机などの上で燭台使用の場合
   脚を広げ立たせ、上の突起に蝋燭を挿して皿で蝋を受ける



 
手に持ち足元を照らす場合
   
 蝋受けを脚の穴に入れ、蝋受け皿の中央部(上で突起を挿した)凸に蝋燭を挿し、曲った箇所を伸ばし手に持ち照らす。



 
小さくし懐中に入れる場合
   
 脚をたたみ折り重ね、突起もぐるりと廻し、一辺が20mmほどのコンパクトなものになります。


 前述ページには、天保8年頃に田中久重が作り、販売したとあります。今回紹介した品、それを購入したのか、古物として購入したか、模造品を購入したのかは不明ですが、面白い製品です。日本人が得意とする軽薄短小化製品にも思います。



● 測定用機器

 
レコード盤の上に以下の様に重ねて置かれた機器を見た時、使い方が分りませんでした。

 
円盤には十二支が刻まれ、


針の先に「九十」まで数字が刻まれています。


そして円盤に「江府規行」銘があります。


 
インターネット検索すると測量機器の作成者とあります。
 測定器すると、円盤の上に三角を立て、測定物の方向に向けると針が動きその角度を読み取り、対象物の高さを計算する測定器ではないでしょう。
 この2つを組み合わせる部分が壊れたのでしょうか。江府規行は磁石作ったとありますので、円盤の中心の矢印にそれを合せたのでしょうか。
 この機器も作製された当時の購入か、模造品か、古物購入かは不明であり、何を測定しようとしたのかも興味が起きます。
 2018年1月10日追記 この機器の購入に関して、恒之進が江戸からの戻りで、汎分度などを購入したとの記録(PDF)があります。これではないかと推測しています。
 
 角度から高さを算出する方法は三角関数のタンジェント(tan)の考えとなります。その考え方が天保の頃にあったのでしょうか。
 あったのです。これを記載した天保時代の本がありました。「算法出世實大全 秋田屋太右衛門 天保五年甲午再板」です。そこに以下の記載があります。


 
色々と考える人はいたことに感心します。


                     ● 安岡家にあった道具へ

                     ● 安岡家住宅<重要文化財>先頭


● 道具紹介  その1

   以下の道具を順に紹介しています。
 
    @ 廃材の中にあった木製用途不明品
     A 携帯用懐中燭台
     B 則行の測定器    
20180110 追記