表に出て来た礎石               2016年7月7日 追加          
 全解体で礎石が表に出て来ました。
 
 
 手前が居室部で奥が座敷部になります。居室部から座敷部への礎石が一直線に並んでいます。居室と座敷部が廊下で繋がっていたので意図的な配置なのでしょう。
 各礎石の上に黒い四角が見えます。
 
 黒い箇所は柱が置かれていた場所です。写真に黄色い線が見えますが、糸紐で水糸と呼ぶそうです。石の上にクロス線があり、柱を置く中心を示しています。それに沿って水糸が張られています。
 石に番付けがなされています。白チョーク内に十四と、十三が見えます。
 また、黒い四角の中のクロス線に↓が付いていて、薄っすらと右下に向けて線が見えます。↓線はこちらが新しい線であることを示し、この礎石が再利用、つまり移築と推定されます。このような痕跡は座敷部の礎石には見られませんので、居室部は文化五年に移築されたことになります。移築の推論を居室部移築に示します。
 
この黒い四角の位置が礎石の平らな箇所でなく、凸凹の位置に残っているのがあります。 これは態々右側を縁から外しています。これは凸凹の上に乗せています。これらは柱のズレる動きを抑えようとした意図的仕掛けとのことです。 そのため柱の底はこれらの形状に合わせてあります。このような細工を「ひかり(光)」と呼ぶそうです。

 最後に意図不明の礎石です。座敷の南側の庇部分にあった柱の礎石です。
 奥の曲がった自然木の柱の礎石です。この柱は客間玄関を改造した昭和初期に取り付けたようです。その礎石が下です。
 
 何故か穴の箇所に柱を立て、その穴をコンクリートで中地半端に埋め、そこに鉄の輪を入れ込んでいるのです。どんなメッセージがあるのでしょうか。


 礎石の退避 20160707追加
 礎石は修復保存工事が終わると建物に隠れて見えなくなります。移築の痕跡である二つのクロス、番付など後世に見えるように残すため、再使用不可となった礎石は建物の中に置きます。
 


沓石 20160707追加
 新たに作られる座敷部の入口の柱にコンクリートが使われているように見えた。
 
 何故、コンクリートを使うのかと聞くと、「コンクリートでなく沓石と呼ばれる礎石」とのことでした。
 この礎石の周囲を見回すと、柱と同じ番付が貼られた石がありました。

 上写真の左側がこれまで使われていた沓石です。土が着いているのが、埋められて部分でしょう。
 新しいのは一見小さく見えますが、全体の高さは39センチ、底辺四角は27センチ×27センチあり、下も上と同じ様な形状でコンクリート状に削られています。以前のは石そのまま、今回のは下が上と同じにすっきりしています。
 

                                  
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