● 主屋修理保存工事 客間 壁外し

 主屋の壁工事は2014年1月頃から客間の壁工事が始まりました。
 壁の層出しの漆喰を取除くと意外な痕跡がありました。
その1
 
 上写真は壁工事の荒壁外しも概ね終わった客間(2014年2月6日に撮影)を南西方向から見ています。
右上に竹節欄間が見えます。
 壁外しを残している箇所の床の間の右壁をトリミングした写真が下です。


 白く四角枠が見えます。これは壁に和紙を貼っていた痕跡です。
 客間は白い漆喰の壁でなく、和紙を最上部に貼り付けた壁でした。
 このような壁は、高知佐川にある重要文化財竹村住宅で見たことがあります。
和紙には絵が描かれていました。山北の和紙にどのような絵が描かれていたかは不明です。
その和紙が剥がれ、あるいは汚れ取除き薄い漆喰を塗ったようです。
 この漆喰塗りも薄いので特別な技術を要するようです。
 その2の痕跡から、明治以降の修理工事と推測されます。

その2

 上写真は前の写真と同じ時期に撮影した客間の床の間です。
 この床の間の貫(柱と柱を繋ぐ平板)に以下の変な釘が打ち付けてありました。
 ワッシャを付けた釘です。
 ワラがまとわり付いています。どうも落ちそうな土壁を抑えようと打ち付けられたと
想定しています。余程、客間の壁状態は酷かったのでしょう。
 この丸釘などから、壁修理は明治に行われたと推測できます。

 これらの修理の際、客間の戸袋付近も修理したとすると、
主屋の解体工事で発見した墨書で紹介した又彦の札

が戸袋の上に置かれることも可能です。そうすると客間の修理工事は明治22年に行われたことになります。
残された者の時代に
の<残された額と文人との交わり>で紹介した以下の絵を見ると壁は白く綺麗です。造作は客間の床の間です。


 
 この宴は客間の壁の修理が終わった祝いの宴とも考えられ、手前の小僧は4歳の秀彦となります。


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