谷筋瓦

 座敷部と居室部が接続されています。この接続箇所は保存修理前は廊下、保存修理では柱などに残されていた痕跡から四畳半で繋がっていたと、そのように復元されています。
 その図面が次です。

 図面の青の下部分が座敷部で、上の青から茶色の部分が居室部になります。
↑が接続部分で赤↑が廊下、青↑が四畳半で接続する棟の部分です。棟が居室部の屋根と交わる箇所が谷筋です。「工事前」の接続部分は次の通りです。

 
 黄色↓が谷筋になります。
 その箇所の拡大が下写真です。

 
 
谷が上流から川幅を広げているようです。下流の瓦は幅広になります。
 これを谷筋瓦と呼び特製です。通常の平瓦に比べると二割増し。

 
 
葺いた時と向きが逆ですが、上が通常、下が谷筋瓦です。
 狭い箇所の谷筋は平瓦を欠いて使っています。
 青↑「修理保存工事」の接続部分は次の通りです。

 
 
棟と居室部の結合部分は瓦でなく銅板を敷いています。雨仕舞(雨水の流れ)がのためにはこちらの方が良いそうです。
 当然、反対側にも谷筋が出来ますので、そこも銅板で谷筋を作っています。

 
 
居室部と座敷部の接続を四畳半から廊下に変えたのは、 揺れ動く時代に家の増改築紹介した改築でした。この改築は槙姫の宿泊のためでした。急改造であったことをうかがわせる痕跡が梁などに残っています。
 修理保存工事での谷筋、前の谷筋より狭く一定の幅です。
 前の谷筋は上流から下流の川の様に幅の広がっています。何故ですかね。
 散歩していて、谷筋を保有する住宅を見掛けました。
 瓦の葺き方などが我家のと違っていました。
 
 修理工事のように谷幅は上と下同じ幅で狭い。谷筋に葺いてある瓦も通常の平瓦のようです。
 瓦は雨風を防ぐのが第一目的ですが、外から見えるので家の意匠として見栄えも大きいと思います。谷筋でも他家と違うことを行うこともその一つだったのでしょうか。右左瓦の葺き分けにも示しました。同一屋根中央部の葺き分けも近世の流行ではと推測しました。谷筋も下流で広げることは新しいかもしれません。

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