木繕工事                追加2016年1月 チョウナ工事など

 主屋の全解体された古材は極力使用します。
 そのため朽ちた箇所を補強します。この補強作業を「木繕い」と呼びます。
 この場合、補強する元のと同じ樹種は勿論のこと、加工も同じ方法で行います。
 現在余り見ることがないチョウナ作業、オノ作業(ここクリック)を紹介します。
 使用不可の部分を切り落とし、そこに同一材種の木を繋ぐ「金輪つなぎ」


があります。これは一本の柱と同等、それ以上の強さがあるそうです。

 上写真の右側が古材、左が継ぎ足した部材です。この両者を連結するために栓を打ち込みます。
 座敷部の柱などはこのような栓を表に出せないので、「貝の口」と呼ばれる手法が採用されています。
 シロアリに食われた箇所を取り除きます。

 シロアリは木の皮側の柔らかい白味の箇所のみを食べ、芯の赤味の堅い箇所を食べません。
 白味でも育った季節が夏のを食べますので、上写真のような線状の傷跡になります。
 この様な箇所を三角柱で切り出します。

 ここに同一材種の補強材を被せます。

 色が異なる箇所は古色で塗ります。
 この古色も柿渋、弁ガラ、松煙を配合しつくります。
その配合の割合で色が違います。それぞれの元の部材に合わせて選択します。

 適当な色を選び塗ります。
 下写真は古材が補修できず新材で作った柱です。


 傷ついた箇所を補強しても少し変形した柱などは強制して補正します。

 上写真の手前の柱左側にキザキザの切り込みが見えます。これは座敷部の蟻壁長押の細工です。
 このような大きな補強だけではなく、不要となった穴の埋め込みを補強しての、古材再利用もあります。

 梁で両側だけ蟻被害が大きく、中央部は健全で

その部分大きな補強材を入れます。

 補強した資材などを使用した軸部組立が始まります。
 貝口の補強は上側が少し太い三角錐が差込まれ、下に落ちない様にしてある
とのことです。それで組立た柱を次に示します。

 当て材の少し上に埋め込まれた補強材の切れ目がみえます。
 

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