2006年5月 撮影

米蔵の西側壁塗り直し直後に撮影

●米蔵 敷地試掘        

● 石垣と湧水生活
 石垣は数メートルの高さがありますので、斜面を削って平にしたのでしょう。この石垣の底に丸太(胴木)がありました。胴木は石垣を安定させるため置くそうです。

            2017年6月 撮影
 上写真の胴木の下は浄化槽のパイプ。上写真で奥から石垣、胴木、パイプ、低い石垣が見えます。低い石垣と高い石垣で溝を形成しています。胴木が腐らずに残ったのは新鮮な水が常に流れ、空気と接することがなかったからとのことです。石垣の下から常に湧水があったのです。その水で生活していたのでしょう。水が湧き出ている場所までの土を取除き石垣を構築した。取除いた土は主屋居室部付近の埋立土にしたのでしょう。関連記事主屋の試掘参照。
 生活用水を汚したくないので、ここを生活場所とせず、現在の座敷部付近を住いとしていた推測します。湧水を汚さないように石垣から少し離れた場所に生活の場所があったのでしょう。
 水は生活に必須ですので、水確保のため井戸を掘ってから生活を始めると考えますが、西と東に井戸はいずれも住み出した頃はなく、東の井戸は丸掘で釜屋建立と同じ文政八年、西の井戸は片側掘で現在の位置に米蔵が建立された以前に作られたと聞いています。その間は湧水で生活していたのです。文助日記にも、別住してから2年後に井戸を掘っています。

● 水路の変更
 米蔵は水路に沿って作られています。前項の胴木は次写真では縦方向の溝から発見されました。

 このように米蔵が溝に沿って建てられ、この先に井戸があります。この井戸は石畳のある下写真の奥側からの片側掘れであることが試掘から判明しました。通常、安定するよう丸く掘り下げるのですが、何故か片側掘りとしています。

        2006年5月 撮影
 水路の曲がり角の内側に石積が発見されました。

           2017年6月 撮影
 上写真のブルーシートの下が発見された石積です。石積の先は井戸の北西の角にあるようです。斜面を削り石垣を作った頃、現在のように溝は直角に流れてなく、現在より内側に斜めで湧水が溜るようになっていたのだろう。その先は現在の井戸付近まで流れその先は広い溝に続いていたのだろう。湧水があったので井戸掘ることにしたのだろうか。溝が近くまであるので片側掘りになったのではないだろうか。
 米蔵を現在位置に移築(米蔵参照)の際、溝を内側の斜め線を現在の直角としたのではないだろうか。
 移築のために溝の位置を変えたとするのは間違いでしたた。井戸を掘るために水路を変えたのです。西の井戸参照

● 瓦花模様・炊事場
 次の写真のように瓦を埋め花模様とした遺構がありました。

           2017年6月 撮影
 瓦花模様が何を示すのか不明ですが、瓦の焼きが甘いので古い瓦と聞きました。敷地には整地面が2面あり、瓦花模様は下の整地面にありました。下の写真で礎石が置いてある地面と瓦花模様(枠のみ)と一段違うことが分かります。

           2017年6月 撮影
 米蔵が移築される前にこの場所を利用していたことが分かります。瓦花模様は下写真赤楕円の位置、米蔵敷地内の溝側でます。

           2017年6月 撮影
 この瓦花模様の溝寄りに焼土跡があったとのことです。花模様が祭事か、実用品か、余った時間の戯れの痕跡か。
 なお、上写真で敷地中心部に礎石に四角木がありますが、事前の光作業です。

● 蔵際の土坑
 蔵の南側、蔵の脇に二つの土坑が近接してありました。整地面との関係から蔵を移築した後の土坑と判明しています。

           2017年6月 撮影
 一方の土坑には風呂を壊した廃材などが埋め込まれていました。昭和45年頃、五右衛門風呂を作り直した時の廃材などと思われます。廃棄のときか、その後かその上に石臼置いたようです。米蔵解体の際、石臼を片付けようとすると、石臼は沈んでいました。

             2012年10月 撮影
 この石臼重く地に沈む程と思ってたのですが、廃材を捨てた土坑の上に置かれていたのでした。
 米蔵の際の土坑の一つは西座の前の池を囲んでいたのと同じ固いハンダ(土+石灰)ですので、明治中期に作られたのでしょう。もう一つの土坑の壁は瓦を積み上げ補強していました。

           2017年6月 撮影
 この土坑の用途は何でしょうか。米蔵の脇にあり明治でも使っているので稲作関係でしょう。種籾貯蔵かと思ったのですが、湿気があり適さないようです。昭和20年前後では芋室として使っていたようです。

                ● 米蔵工事状況 先頭

                ● 修理保存工事状況 先頭
     
                ● 安岡家住宅<重要文化財>先頭